くるくるばたばた

主に東方SSの解説や感想と、稀に漫画とかラノベとかその他。

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東方SSメモ184
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集184にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。

『リグル・ナイトバグは蠢かない』(南条氏)
 世界観つながってるっぽい話の一つ。
 文章的には意外なほど素直に読めて、これどうなんだろ、きっちり見たわけじゃないけど、わりとリズム取ってるのと、地の文でも情報の塊ごとに適度に空行入れてるのと、あと文章自体がそれぞれそんなに長くないのとか、なんかそこらへんが個人的にマッチしたかも?
 お話としては、ライブをやるにあたって、必要な物事をきっちりまとめててわりとわかりやすい。あとこの世界観に共通してだけど、幻想郷の「上の部分」が見えないのでロマンがある。ここらへんの魅力は普通に東方の二次創作をやってもおおよそ付加させることができない(ゆかりんが殆どプレイヤーの理解の範疇にあるキャラクターとなってしまっているため)。
 そこらへん独自の世界観もあわせてとても面白いんだけど、全体的にちょっと中二っぽいみたいな感じはある。悪い意味で中二、というほどでもないんだけど、なんか非常にむずがゆいのは確か。露悪趣味が前面に出てるあたりが特にそんな感じかも。この露悪趣味はリグルの語りであるが故にというよりは、単に作者の趣味っぽい感じがあるから余計に。どっかのコメント勝手に引っ張ってくると、「俺の幻想郷マジもんだからマジぬるいのとか勘弁なマジ」みたいなかんじ。この作品では作品自体の長さとあと全体的になんかハッピーエンドっぽい空気なのでだいぶ緩和されてるけど、逆にこの二つの条件が失われるとむずがゆい度が高くなりすぎて普通に面白くないかもしれない。なにかしらの圧力によってキャラクターが頭悪い感じになってそれでアレっぽいというかバッドエンドっぽい感じになるのはなんかむずがゆい症候群。霊夢さんの短編はそんな感じだった。この作品に関して言うなら、一輪がいたかどうかも関係してるかも。
 たぶん今まで見たそそわ作品でもっともなろうっぽい、そしてなろうっぽい上で面白い。なろうっぽいってのがどういうことなのかはよくわからん。



『ラクトルーム ティーパーティー』(めるめるめるめ氏)
(以下レビューより転載)
【あらすじ】
 幻想郷のあるところで他殺死体が発見されました。
 遺体が発見された当時、現場は密室状態にありました。
 殺害した犯人は東風谷早苗でした。

 なんかいろいろあって、ミステリ好きの早苗さんとミステリ嫌いのパチュリーが勝負することになった。
 勝負方法は「私の出題する謎をパチュリーさんが見事解き明かしたら、私もミステリが子供騙しだと認めましょう」(by早苗)
 ミステリ好きなフランドールも、パチュリー側(推理側)に立って参加する。
 そして早苗が「問題」として提示してきたのが、このあらすじ欄冒頭に提示した三行の文章である。

【感想】
 以下ほんの少しネタバレあり。
 主にフランドール視点で進む作品。このレビューを書いてる人はミステリとかあんまりよくわからないのですが、そこらへんあまり関係なく楽しく読めたように思います。
 100kb以上あることだし、あらすじだけだとどういう方向で進める話なのか見当つかない人もいるだろうしということで、この作品の方向性をパチュリーの台詞引用で示しますと、「幻想郷にいて密室殺人を起こせそうな連中に、犯行が不可能な条件を与えて一人ずつ潰していく。そうやって最後に早苗が残れば、理論上はそれが正解となるわ」というような、なんかこんな感じのノリになります。この問題文を必要十分にするにはどうしたら良いか、みたいな。
 幻想郷は異能力者が多いため密室殺人みたいなよくある感じのミステリっぽいことはやりにくいんじゃないか、といった考えをけっこう多くの人が持っているんじゃないかと思います。しかし、それでもミステリをやりたい。そのためにはどうしたらいいか。……という思考を作品へとそのまま転化しているのかなと感じました。
 この発想の面白さももちろんこの作品の長所なのですが、それだけではないです。
 ともすれば机上で理屈を交し合うだけになりそうなこの作品に、「思考実験」と称して、それまでの推理をまとめて事件の概要を想像する再現VTR的な箸休めをちょくちょく挟んでみたり。早苗とパチュリーがいれば最低限話は成り立つところに、普通人視点での思考整理役(探偵助手役)としてのフランドールを挟めたり。(詳細は伏しますが)作品の最後の一ピースとしてあのオチを配置したり、といった、作者さんのバランス感覚。この辺が作用して「全体的に普通に面白い」というのが、発想の面白さの裏に隠れた、この作品の強みなんじゃないかと思いました。
 
【五段階評価では分け足りないので百段階評価】81/100



 そのほか一言メモ。
『「秘封奇譚~セピアメモリー」』(みかがみ氏)の、なんというか、その町についてひたすら書こうとしてるっぷりがいい感じに作用して面白い。
『籠のなかの鳥は、いついつ出遣る?』(砥石氏)まだ幼かった頃(?)の椛とその保護者的な文を素朴に書いた話、ってのはなんとなく探せばある気がするけど即座には思い出せず気持ち新鮮なところもあり面白かった。
『幻想入りへの道程:第一話 氷の妖精』(継電器氏)は普通に面白いんだけど、霊夢さんのキャラとかがそれっぽいというか地に足付いてる感じなのが面白さの土台になってる感じで、つまり良い。
『こころしてやる!』(超空気作家まるきゅー氏)がいつものごとくこいしをキーにしてこころというキャラクターに踏み込んでる感じで面白い。
『妖夢無双 ~剣法十番勝負~』(道楽氏)のノリが素敵。こういうのたまーに読みたい。
『りょこうしたい』(営内者氏)いい感じにほのぼの楽しめるお燐と死体のお話。
『サイキックシンデレラ』(ことやか氏)の魔理沙のキャラクター(の描き方)がツボすぎる。
『所有物には名前を、君には傷を』(ごはんつぶ氏)がストレートなレイマリでよかった(小並)
『天狗が見た蜃気楼 -博麗ノ巫女-』(zenteki氏)が良い心綺楼補完。

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東方SSメモ118
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集118にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。
 今回は一言メモのみ。

『首斬り霊夢』(ケチャ氏)、こういうのをサクッと書けるのは素敵な感じ。
『ジオング お試しver』(ケチャ氏)も引き続き素敵な霊夢さんとアリス。
『自縄自縛シーケンス』(deso氏)のテンポの良いコメディっぷり。
東方SSメモ181
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集181にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。

『悟りでんぱ伝搬中』(河岬弦一朗氏)
 覚について考えてるなあ系作品。実は端的に『コウ』の物語という面も持ってる感。(以下レビューより転載)
 
【あらすじ】
 隠遁していた語り手(『コウ』と呼ばれる)の元に知り合いの女がやってきて、妖怪サトリを押し付けてゆく。
 コウはなし崩しにサトリと共に暮らすことになり、その中でサトリについて考える。
 覚妖怪と自意識やらなんやらの話。

【感想】
 まず最初にですが、これ、タグを見ないで読んだ方がいい。もし見てしまったら忘れて読んだ方がいい。登場キャラが書いてあるのだけど、作中のキャラをタグに書かれているキャラだと認識しながら読んでいこうとすると、たぶん違和感がある。最後まで読めばかなりしっくりとハマるのだけど。
 さておき中身は、言うなればサトリとの生活のシミュレート。心を読むというのがどういうことなのか、心を読むものと共にいるというのがどういうことなのか、そのあたりの思考、考察が語られる。
 思考の堂々巡りという空気も途中まではなくもないが、最後まで読んでみると意外ときっちり物語している感がある。というのも、終盤あたりで、この作品がこの語り手の長い物語の一幕であったことを意識させられるため(語り手が誰なのか言えないのであまり具体的なことは書かないが)。
 覚妖怪について真面目に考えてみたい人なんかには特にオススメかも。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】82/100点



『白狼天狗犬走椛 ~暇地獄変相図~』(逸勢氏)
(以下レビューより転載)

【感想】
 『東方堕落型少女』や『ベリベリナイスディ』なんかで記憶に留めている人も少なくないんじゃないかという逸勢氏の新作。
 東方キャラが何かを一つ踏み外して転がり落ちていく感じのお話を、ブラックユーモアやある種のシュールさ、現実社会のブラックなあるあるネタなんか交えて書く人ってイメージ(作品全部読んでるわけじゃないので偏ってたら申し訳ない)なんだけど、少なくともこの作品を見る限り、わりと同じような色のお話であるにもかかわらず、なんか以前よりも明らかにレベル高くなってるように思えました。
 んでどうしてか考えてみると、たぶんだけどこれ、筆力が普通に高くなってるのかなあと。筆力なる言葉の中身については諸説ありますしここでは触れませんが、ブラックユーモア、ある種のシュールさ、ブラックなあるあるネタ……これらを統括する、作品全体に漂う静かな狂気といいましょうか、これを文章やその語りの軽快なテンポなんかで、ついでにいくらかのコミカルさまでも交えつつ、読み物として表現できている感があります。
 文章を読んでいるだけで面白い(←個人差があります)、気づいたら読み終わっているタイプの掌編です。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】78/100点



 そのほか一言メモ。
『奇跡の解明』(zenteki氏)が過不足ない良短編感。
『魔「子供ができた」 霊「ファッ!?」』(俄雨氏)青娥と魔理沙の絡ませ方がおそらくスタンダードかつ面白いコメディちっく短編。
『博麗の閑話 裏紙』(ことやか氏)、霊夢さんと妖怪を描く安定した掌編。
『すくへない話』(ことやか氏)の霊夢さんと妖怪の描きっぷりが相変わらず素敵。
『ばかものー! ~ 奇譚 茨牡丹の門』(アラツキ氏)の茨歌仙っぽい空気がすごくいい。
『ばかものー!! ~ 嘘から出た乙女心』(アラツキ氏)も引き続き素敵な霊華っぷり。
『ばかものー!!! ~ 夢想の桜雨』(アラツキ氏)のやはり引き続きな霊華力。
『必殺仕事人外 『ヤマメ、人形もどきに驚く』』(片隅氏)の安定した時代劇感。

東方SSメモ117
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集178にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。

『第四次紅魔図書館清争』(公ノ入氏)
(スレに投げたレビューより転載)
【感想】
 図書館のカビ臭さに愛着を持つ図書館派と、汚物は消毒しちゃいたい館メイド派が戦争もとい清掃すなわち清争するお話。
 いわゆる『真面目にバカをやる』タイプのお話として読める。当事者達は真面目に(楽しそうに?)やってるんだけど、外から見るとこいつらアホだなーという感じの。
 しかし読んでてすごいと思うのは、これ90kbほどあるんだけど、ほぼ最初から最後までまるっきりテンションが落ちないということ。
 どうしてテンションが落ちないのかと考えると、まず上述した図書館清争の全体的な筋書きそのものの面白さというのももちろんあるんだけど、たぶんそれ以上に、その筋書きを描く上での過不足の無さというのが大きかった印象。要するに、無駄なことを書きすぎず、かといっていろいろ省いて簡潔にもなり過ぎない。このバランスがとても上手いと思う。どちらかに偏るとその部分が退屈になってしまいそうだが、そういうことはほぼ無かったと思う(おそらく歯車が回り始めてない最序盤が、この作品内で言うならもっとも退屈な部分だったかもしれない。でも最序盤は最序盤なのでそんなに長く続くわけでもない)。
 そういう感じで、90kbがテンポよくサクッと読めてしまう良質なエンタメ作品。あとアリスや霊夢さんがかわいいのもベネ。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】81/100点


 そのほか一言メモ。
『夏のかたわら』(えび氏)が素晴らしいゆかれいむ掌編。
『彼の景色、其の景色』(松木氏)にひとかけら混ざったかぐもこが素敵。
『楽園を守るひと』(873氏)の霊夢さんがかわいい。
『お願い、私を捨てないで!』(飛び入り魚氏)がサクッと楽しめるスペカ意思ネタ。

東方SSメモ180
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集180にて。
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『カマイタチ戯談』(ことやか氏)
「結局誰が悪者でもないのかもしれない。だから、妖怪が悪い。シンプルな話だ。」がすごい。
(以下レビューから転載)

【あらすじ】
「カマイタチって事は名の如く、鎌・鼬、鼬の仕業に違いないわね。鼬ってすばしっこくて……」
「いや、カマイタチと言えば三兄弟の悪神だろ?一人目が転ばして、二人目が斬る、三人目が薬塗るって奴じゃないのか」
「二人ともちょっと古いですね、カマイタチの正体は強風や旋風で、真空状態ができる事によって皮膚が切れてしまうのです!ブラックジャックで見ました!」
(作品より一部省略しつつ抜粋)

 神社の縁側に並んで座る霊夢、魔理沙、早苗は、それぞれ足に切り傷を負い、包帯を巻いていた。
 これはカマイタチの仕業に違いないと頷き合うも、三人の思い浮かべるカマイタチの像はまったく異なるものだった。

【感想】
 ことやか氏は作品集178で初投稿、これが三作目なのだが、氏の作品の今のところの特徴として、まず一つ、とにかく『らしい』というのがある。
 霊夢や魔理沙、早苗らといった、『キャラクターのそれっぽさ、原作っぽさ』というのもあるんだけど、それだけではない。やや説明しにくい、実際雰囲気的なものではあるのだけど、たぶん『お話自体が原作っぽい空気』というのが一番近い。
 原作の中でも、三月精や香霖堂、茨歌仙、鈴奈庵あたりの、短編連作系漫画。これらの漫画作品の、幻想郷のちょっとした風景、出来事を描こうといった空気が近い。
 ……ただ、近い、というからには、これらの作品ともまたやや違う感触があって……おそらく氏の作品は『幻想郷のちょっとした風景』よりも『妖怪のいる風景』と言った方が正しく性質を示していると思う。妖怪のいる場所で巫女さんをしている霊夢の日々、そこを通り過ぎてゆく、東方のキャラクターではない妖怪たち(基本的に霊夢の視点で話が進んでいて、これもまた、原作っぽくも良い意味で異なる味わいをかもし出してる。原作で霊夢の視点はほぼ描かれないし)。
 そしてもう一ついい感じの味付けとして、境界に居る霊夢さんを視点主にしていることもあってか、外の世界との繋がりを意識させられる部分が多く、それに伴って、妖怪の在り方とかそこらへんへの感傷が自然に作品に溶け込んでいる……という感じのがある。なんかここまで書いてて、香霖堂三月精鈴奈庵を足して三で割って霊夢視点にした感じ、とか言ってみると早い気がしてきた。
 なんか「カマイタチ戯談」よりも作者の作品全体について書いてしまったような気がするが、とにかく「カマイタチ戯談」自体もそんな感じでいい雰囲気の作品なので、ちらっと覗いてみてほしい。1作品20kb未満くらいなので、波長が合うようなら過去作もぜひ。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】74/100点



 そのほか一言メモ。
『にわかにキョンシー』(鹿路氏)が素敵な感じに華扇や青娥を描いてる感じ。
『そして十六夜咲夜はナイフをおろす』(わつじ氏)はちょっといろいろ省略しすぎで物足りなしな感もあるが、わりと真っ当に面白い現代入りというか、現代視点。
『忘れない』(うぶわらい氏)が例のごとく良い雰囲気の蓮子とメリー。
『のみまりさ』(ベータ氏)、なんかこれ系のは好き。

東方SSメモ179
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集179にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。


『戦闘妖精・春告』(片隅氏)
(以下レビュー転載)
【あらすじ】
 <ニピー>。突如幻想郷に出撃した、謎の存在。それらは言葉を持たず、また非常に攻撃的な性質をしており、積極的に妖精達を襲撃している。
 姿形は妖精に酷似しており、一目では見分けがつかない。力も妖精と同程度であり、人間や一般の妖怪の間では妖精とほぼ同一視されている。しかし、<ニピー>には勘のいい人間や頭の良い古参妖怪、そして妖精達には分かる明確な違いが存在していた。
 それは、『一回休み』が存在せず一度死ぬと二度と蘇らないことと、妖精達にはない、不自然な自然の気を漂わせていることである。(以上、本文より抜粋)

 そんな<ニピー>たちと、妖精たちの戦争を描くお話。

【感想】
 ほぼ妖精たちの視点で進む作品で、お話そのものは、妖精たちの戦争を題材にしたエンタメ物、と読んでしまって何の問題もない。
 のだけど、読み進めてみるとけっこう別の見え方を提示される。
 ここからネタバレ注意。


 このお話、妖精たちは妖精たちでわりとガチで戦争しにいってます。上述したように、二ピーは言葉を持たないとされているので、まるっきり謎の不気味な存在、しかも自分達を攻撃するってことで、本気でやっつけにいってます。
 なんだけど、本気で戦争してるっていうのに、どこか悲壮感が無いです。ふつう戦争といえば、なんかいろいろ悲しい物事が付き物だと思うのですが、そういうのが無い。
 それもまあおかしなことではなくて、なぜかというと、妖精には『一回休み』があるからです。戦争でやられても、死ぬことはありません。このニピー、妖精を殺す特殊な能力があったりするわけでもなく、妖精たちは普通に復活します。
 ところで、あらすじ説明で本文から抜粋したように、ニピーには『一回休み』がありません。そしてこのお話は主に妖精たちの視点で描かれ、また妖精たちは本気で戦争していて、しかし妖精には『一回休み』があるのでお話に悲壮感は無い。
 これらをまとめるとどういう構図になるかというと。
 妖精たちの視点に入り込んで読んでるうちは戦争エンタメとして読んで問題ないのですが、ふと一歩引いてみると、これ妖精たちはすっごい無邪気に、また無自覚に、ニピーを『殺して』るんですよね。
 実は「一歩引いた」視点は作中にも導入されていて、これらのことは作中でも語られます。加えて、これが妖精たちの戦争として成り立っているのは、あくまでニピーたちが「妖精と戦争する程度」の弱者であって、また現状幻想郷に大きな影響を与えるでもないから(もしそうであれば人間や妖怪が動くであろう)……といったことも。そしてニピーが何者であるか、彼らの目的が何であるかといったことが明かされるにしたがって、このお話の、ひいては妖精たちの、(普通の人間から見ての)薄ら寒さ、残酷な冷たさが見えてきます。
 こんな感じで、戦争エンタメの裏側に妖精たちならではの面白みが宿っていて、そこらへんがゾクゾクする作品でした。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】83/100点



『バイオの宮古さん』(うぶわらい氏)
 ああ、こいつら大学で学生をやってるんだなあという、どこか地に足のついた感ある蓮子とメリー、それに完全に幻想郷キャラというようではなさそうでもまったく普通の人とするには違和感のある、言うなれば『得体の知れない』気配をかもし出す宮古さんが絶妙でした。面白かったです!(コメントの転載)

『やすっぽい』(アラツキ氏)
 それっぽい。
 と言っちゃうと簡単に聞こえるかもしれないけど、実際それっぽいっていうのはかなり希少なステータスだと思っています。霊夢さんも魔理沙も萃香も少女も、タイトルを借りるならこのお話のやすっぽさ、なんてことなさみたいなのも、全部ひっくるめてとてもそれっぽいと感じまして、つまりとてもよかったです。面白かった。(コメントの転載)


 そのほか一言メモ。
『彼女たちの舞台裏』(犬小屋氏)の一輪さんの失恋っぷりがいい。意外とこういうのってあまり見ない気がする。
『乗化』(司馬漬け氏)の落ち着いたマミゾウや白蓮が素敵。魔理沙もかわゆし。
『舞姫のごとくたまゆらに』(zangi氏)が、ちょっと作劇的過ぎな感あるけど、幻想入りの雰囲気をいい感じにかもし出せてる感。
『旧、すべてくまなく。』(羊飼い氏)がまさしくタグ通りのイチャコラ。
『出世話』(ことやか氏)の妖怪と東方キャラの描き方が素敵。

東方SSメモ116
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集116にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。
 今回は一言メモのみ。

『首絞められ霊夢』(ケチャ氏)がステキ。ただ、異常性をあまり説明しようと思うと逆に以上に思えなかったり、かといって説明しないと普通によくわからなさそうだったり、とかそういうの難しいなあとも思わせられるかも。
東方SSメモ178
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりするかもしれない記事。作品集178にて。
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人工精鋭スカイドライブ(平安座氏)
 自らを機械ではないと冒頭から主張する一方、藍様視点での地の文が一行ごとに四〇文字で統一されていることは藍様の機械的性質を象徴しており、愛を肯定しようが牛が出てこようがこの一行四〇文字=藍様の機械的性質は微動だにせず、また他の客がいない/無愛想な店員というややわざとらしさも感じさせる確認からして、そもそもこのお話はひょっとすると──とかそういう深読みを……強いられているのか!?(集中線)
 この辺りが深読みであったにしても、実際のところわりと重たいというか本来シリアス系なお話を、細やかに覆い隠すというか笑い飛ばすというか、そういう感じの「一見壊れコメディ」の匂いを勝手に感じ取ったので個人的に楽しめました。
 文字数揃えてもhtmlになると右端が見た目ガタガタになるというのを作者さん的に把握しつつも迷彩がてらという感じで敢行したのか、あるいは把握しておらずエディタ上では揃っているのをいざ投稿したら悲劇ったのか、どちらにせよ揃えるのはなかなかめんどくさかったのではないかなと想像しつつ後者だったら南無三と一応手を合わせておきます。個人的には揃っている環境で見た方が好きというか、作品の印象がわりと変わって素敵でした。(コメントで書いた分をそのまま転載)


不死のロングウォーク(イムス氏)
 面白い。たぶんエンタメ的なアレとして面白かったと感じている、が、本来これの数十か数百倍長い物語の要所、の中のある種類のものをごくごく一部抜き出し、それを一応お話として体裁つけるために彼女の存在とエピローグ的部分をくっつけた、というふうにどうしても見えてしまう……彼女の存在は必ずしもそうとは限らないけど、仮に全部を書いていたならば彼女の描き方は大幅に変わっていたはず……。
 むう、100kbを短く感じるくらいの面白さということでもあるが、素直に勿体無く思える部分はあるな……まあ実際これを全部そのまんま書かれるなんてことはありえないとはわかってはいる、ような気は一応しているのだけど。


五年後の夢追い人(モブ氏)
 うーん良かった! 面白かったです! 関連してるっぽい過去作も軽く見させていただいたのですが、魔理沙や周りの連中をああやって描いてきた上でのこの作品、と思ってみると感慨深い。なんだろう、過去作でも描いてきたこの魔理沙の周りの優しげな世界、それとは関係なく起こる事故、その後も魔理沙のまわりに在るもの、魔理沙が得てきたもの、思ってきたこと、取り戻すもの、新たに志すこと……なんというかここらへんのあれこれを「普通の魔法使い、普通に復活」という言霊が神がかったレベルで纏め上げているように感じられて、めっちゃしびれました。素敵なお話をありがとうございました。(ここまでコメントで書いた分をそのまま転載)
 ここから自分用メモ。
 これ空行の使い方とかもうちょっと構成スマートにできないかなという気もしたんだけど、名前ありオリキャラの台詞を括弧を使わずに書いている(たぶん名前ありオリキャラの存在感を薄くする効果あり? 全部きっちり意識して読んだわけでも確認したわけでもないけど。魔梨沙の台詞には括弧ついてたし、作者さん的になんらかの意図の下では当然ある)ので、まず空行の使い方というか地の文の空行を詰めて台詞ぶぶんだけ空けたりすると、せっかく括弧を使わないで存在感薄くしてるのが、逆に変な存在感持っちゃうっぽいかなとか。んで構成も、もうちょっと全体的に凹凸つけることはできる気もするんだけど、それやるとオリキャラが目立ちすぎちゃうかあるいは必要以上に薄れすぎちゃう気がする。なので実は戦略的にはだいたいこれがいいんじゃないかという感が正直してくる……戦術レベルでちまちま手を加えられそうなところはありそうというか普通はあるので、まあ。


 そのほか一言メモ。
『コミュ障の人形師と、ヒモの魔理沙』(逸勢氏)の魔理沙とアリスをちょこんと突っついてみた感が面白かった。
『博麗さうしジャンジャンビ』(ことやか氏)の、物語として変に脚色しすぎない素朴な感じ……にして、自分の頭の中で考えた要素と軽くトッピングする感じ、なんだろう、素直な二次創作って空気だろうか、そのあたりが素敵。
『喫煙と独占欲は両立出来ない』(enjoy@空の青氏)の魔理沙がかわいいげ。

東方SSメモ4~6
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりする記事。作品集4~6にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。

『necrofantasia』(MNM氏)は正直読みにくい、が面白い。妖々夢の妖しさを書けてるかんじ。
『吸血鬼』(九曜氏)が素敵なレミ霊ほのぼのにして、『吸血鬼』のお話。
『夜の扉』『双月夜(前編後編)』『幽冥傳奇』『天壌無窮(前編後編)』(MUI氏)はそれぞれ永夜抄のプロローグ(ちょっと趣が違うのもあるけど)。良い意味でベーシック、まだ薄暗かった頃の幻想郷を描いてる、今はあまり見なくなったタイプの作品と言えそう。
『柘榴の杯』(特に名乗るほどの者では氏)も、あまり見ることのなくなった、「距離のある」八雲紫。
・『天職を転職(前編中編後編終章)』(nonokosu氏)の「二次創作」な感がすごい。まだキャラクターやその関係性が今ほどに固められていなかった頃だからこそという空気。こういう霊夢さんも正直いいなあと思ったりはする。


東方SSメモ115
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモしたり、なんかその作品集について適当に語ったりする記事。作品集115にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。


『名探偵魔理沙 ―毘沙門光明消失事件―』(FoFo氏)
【感想】
 ネタバレ注意。
 まず良い点として、同作者の「東方文明ごっこ」などでも見られる、『原作から吹っ飛びすぎず、かつツボを押さえたキャラクター造形』が活きているというのがあります。このためうぎぎ計量327kbが長く感じない、というかむしろ長ければ長いほど(このキャラクターたちを眺めているだけで)面白いとすら感じられます。また、「それっぽい」キャラ造形だけでなく、それっぽさから一歩踏み出そうともしていてそれが良い……赤毛の町娘お梨沙ちゃんとか素敵過ぎる可能性です。……もちろんこのあたりは個々の東方キャラ認識によるでしょうけども。

 ここから完全にネタバレ。
 上述したような、良い意味でクセのないキャラクター造形が、たとえば全体の話運びを丁寧っぽくしていたり、ちょっとしたエピソードややり取りの魅力を増してくれてもいて、全体的に、「ただ読んでいるだけで楽しい」という感じの力を持った作品と思います。ただ、二点ほど気になるようなならないようなところがあるかも。
 まず一点は……私自身ミステリというものはほぼ読まない人間なのであまり強くは言えないのですが、これ、タイトルからミステリ臭するし前書きにもミステリー仕立てとあるのですが(ある意味でミステリー『仕立て』というのは正しいのかな)、たぶんミステリとして真面目に読んで考えにいくとかなり肩透かしをくらうだろうなということ。ただこれはそこまで問題ではないというか、実際に読んでみれば「これミステリが本筋じゃないわ」ってのがひしひしと感じられるだろうし、なんというか、変にミステリへの情熱を持って読みにいってもたぶんあんまりアレかも、といった程度。
 どちらかというと気になったのは、なんかこれ相当難しい問題を扱ってるはずだし少なくとも途中まではそれに真摯に取り組もうとしてるように見えるんだけどそしてどんな答えを出すのかと思ったら結局ノリ任せにしてごまかしてないか、という感じのことだったり。
 既に書いたように「ただ読んでるだけで楽しい」……すなわち面白さが分散しているので、最後らへんで引っかかっても作品全体として十分に面白くはあるのですが、やっぱり個人的には画竜点睛を欠いた感はあったかも。十分に面白くはあったのだけど、面白かったからこそ!

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】83/100点



『ナイトホワイトチョコレイト』(深山咲氏)
【感想】
 ゆかえーきの基本的なエッセンスをこれでもかというくらいに濃縮した掌編。ようするにゆかえーきデート。……と言いつつ、カップリングというほどのものでもない。単に、素直に、映姫と、紫。めんどくさいのでこのレビューではゆかえーきと言ってしまうけど。
 どんなところがいい感じなのかと具体的に考えてみると、作品内の映姫と紫の関係性がまずひとつ。パターンとしてはよくある形なのですが、『立場としては異なっているが(敵対しているが)個人的には互いに信頼を置いている』みたいなタイプ。なかなか萌える関係性だと思うのですが意外と幻想郷では(東方二次創作では)これはあまり見ないような気がします。
 ゆかえーきでこれを描くにあたって映姫様の視点を選ぶのはなかなかに必然的というか、これはおそらく『立場』の存在をしっかり描くにはおそらくその方が適しているために。『立場』をきっちり描き、それでいて相手に信頼も置きつつデート的なことをしちゃう……この作品においてゆかえーきを、カップリングとまではいかない穏やかな関係性を描くための、映姫様の柔らかなキャラ造形。そのバランスがとても好い。その柔らかさが紫にまでも及んで、紫が少々良い子すぎる感じになってる気もするのですが、ここはたぶん好みの違いかなという。
 また、この関係性を示すだけではないもうひとつの面白みとして導入されているのが、外の世界でのデートという舞台装置。これが唐突に差し込まれるだけでなく二人の関係性にも立脚していて、要するに上手く利き、調和してる。関係性と舞台装置をあわせて、拙い言葉ですが、いわゆる『いい雰囲気(カップリング的な意味とはちょっと違う)』を演出できてる。
 文量としても、足りないわけではないけどこれ以上があるならそれはそれで見たい、すなわち無駄に多くも少なくもなく、ひとつの作品として最適なレベルにまとめられている感。
 ゆかえーき作品として基本的かつ上手にまとまっています。基本的であるがゆえにゆかえーきに興味ない人にこそ読んでみてほしい。またゆかえーきに興味があるひとも無論読むべき。つまり読もうと言ってしまいたい。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】76/100点



 そのほか一言メモ。
『こいしちゃんのある一日』(無言坂氏)のこいしちゃんがおもしろい。
『首吊り霊夢』(ケチャ氏)には「こういう霊夢さんの描き方があったか……」と思わされてしまった。
『黙の時間』(ひきにく氏)が不思議な雰囲気かもし出せてる。
『Calling, Calling.』(芽八氏)が、どこかノスタルジックな、早苗とケータイのお話。
『小傘小活劇』(カイ氏)が素晴らしい多々良小傘だった。



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