くるくるばたばた

主に東方SSの解説や感想と、稀に漫画とかラノベとかその他。

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東方SSメモ85
○「ハクタクの運命」(野田文七氏)
 人間・上白沢慧音と稗田阿求の交流に始まり、その行き着く先、慧音が半人半獣となる過程、それらを描いた作品。

 後編の、慧音のあの一言からの展開が非常に好み。ちょっとホラーじみてるというか、何かをどうしようもなく間違えてしまいそうな、足元が揺らぐ感じ。これがすごくいい。
 また、後編後半部分の収束っぷり。レミリアの『運命を操る程度』の介入にも痺れていたのですが、さらにその先、「慧音」とあの一言の先が。ぐるりと反転して、そうやって終ってしまうのかと思ったら。いやそれもありかと思っちゃうくらいに、ちょっぴり壊れた、狂ってしまったような雰囲気の描写がお上手なのですけども! しかしあの結末に、なんだか驚くくらいの納得を感じてしまって。
 あの結末、そしてエピローグ部分も素晴らしかった。すごく楽しませてもらいました。

 ただ、強いて言うなら、視点の混濁が微妙にもやもやさせてくれた部分が……慧音にしか見えない白沢がいるから余計に、でしょうか。後編前半部分の、幽香が現れた直後、ハクタクが出てきたところとか。それまで阿求視点だったので、見えないはずのハクタクの顔が変わっていくあたりでちょっと突っかかったりとかしました。
 あと、永琳が出てきたあたりで、時系列というか設定的にうにゅ? と思ったりも。永琳が出てきただけならギリギリ設定の隙間を縫ってると思うけど、胡蝶夢丸まで出してくるとちょっとはみ出してるような。

 全体として、すごく楽しめる、かなり好みな類の作品でした。久々にお腹一杯になれた感じです。



・「La Flamme de L'amour」(浅井キャビア氏)
 魔理沙とアリス、恋のお話。なんとなくカップリングでほのぼのしたりコメディしたりとかじゃない、シリアスに書かれた恋のお話。
 作品集82の前編と、85の中編後編からなる。

 前編の時点で魔理沙とアリスの掛け合いとかにセンスを感じさせていた作品。しかしたどりついたところとしましては、わりと醜悪たるバッドエンド。こういうものを、こんなふうに綺麗じゃなく描かれるというのがなぜか好みだったりします。この薄ら寒さが良い。
 アリスは魔理沙が望んだとおりに傷つけられて別のものになってしまって、だから魔理沙や、あるいは別のものになってしまったアリス当人にとっては幸せな終わりなのでしょう。そしてこのお話が基本的に魔理沙視点である以上、まあ、悪くない終わり方に見えますが。一歩引いて読者としてこのお話を咀嚼すると、そこそこに、なかなかに。
 欠落なくして創られたアリスを、あるいはお人形のようなものとして見てしまうこともできるのかもしれません。ただ少なくとも、壊される前のアリスは、自分の足で一歩一歩、ゆっくりだけど着実に歩いていて、自分自身の力で、何か別のものになろうとする道を歩んでいたように感じられます。──まあ結局、それが待てなかった魔理沙によって、完全たる人形にされちまったわけですが。
 アリスが歩んだ道の先にも、同じような結末があったのかもしれないけれど。それはもう壊されてしまったので、知る術はありません。そして残ったのは、歪で、閉じられた、二人だけの、二人だけが幸せな世界。
 ……いやー、大好きですこういうの。

 気になったこととしては、まず不自然にひらがなで書かれてる部分が多々ありましたがこれは十中八九わざとなのでしょうし何も言わない。どちらかというとそういうのは好きだし(ひらがなって美しいですよね)、それがもにょっとした箇所はあんまり無かったから。
 ただ、もう一つ……これは、今回はたまたま私は気にならなかったんだけど……文章途中での改行があるんですよね。個人的にこれはあんまり好きじゃなくて、だって「窓の中の物語」とかで読んでたら改行ぐちゃぐちゃになってたでしょうし。個人的にそういうのを気にしてしまう性質。まあ今回は気にならなかったんですけども。



 続きが楽しみなシリーズ
・「夏風ロケットブースター」(沙月氏)
・「彼女の黄昏とプラスチックダイアローグ」(歪な夜の星空観測倶楽部氏)
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