くるくるばたばた

主に東方SSの解説や感想と、稀に漫画とかラノベとかその他。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
東方SSメモ95
 創想話無印で面白かった作品を、作品集ごとに個人的にメモする記事、作品集95にて。
 スレに投げたレビュー(「作品集ごとに一気読んでレビュー」名義)の転載も入ってるかも。


◎『東方文明ごっこ』(FoFo氏)
 前編 中編 後編 (前日譚『文明の終わる日』
 みんなで「シヴィライゼーション」やるお話。
 言ってみればそれだけなんですが、それがすげー面白い。「東方でやってみた」みたいな感じの、ある種原始的な二次創作って感じがするのですが、主にキャラのツボの押さえ方がすごくうまくて……それに乗せてゲームそのものの流れも楽しませてくれるし、また、この文明ごっこの源流にある「幻想郷」の描き方。その解釈、理解。土台がちゃんとしているため、「ただなんとなくやってみた」の域を超えた良作になっています。かなりの勢いでオススメする作品です。
 以下、スレに投げたレビュー転載。

【あらすじ】
「ついにキャノンの時代が来たよ。よし、こいつらはガンキャノコ部隊と名付けよう」
「八雲紫ともあろう者が、どうしてこう簡単にひとを信じちゃったのかしら」
「それに、落ちてくれるなら別にどこでもいいから。誰であれ私より下の奴が必要なの。悲しいけどこれって戦争なのよね」
「ご安心くださいお嬢様。我々はまもなく手に入れます。全てを破壊する、究極かつ禁断の力を……」

 ……とまあなんだかいろいろあって、みんなで「シヴィライゼーション」なるゲームをやろうぜというノリになったので、やってみた──ということで、そのゲーム進行を前中後編合わせて200kb超で描いている作品。
 参加したのは、守矢、博麗、魔法の森、紅魔、冥界、八雲、月人の七陣営。
 たかがゲーム、されどゲームということで、熱い戦いが繰り広げられます。

 ところでこのレビュー書いてる人は「シヴィライゼーション」を知らないので、細かいところはさすがにわからなかったのですが、なんとなく直感的に全体を理解できたように思います。
 何が言いたいかというと、元ネタ知らん人でも大丈夫だと思います。(たぶん「信長の野望」+「シムシティ」みたいなものだろう……)


【感想】
 まず、キャラ描写の上手さが目に付きます。
 七陣営×各勢力二人ずつ。さらにゲームの外にいるキャラも含めると、描かれているキャラは二十近くにもなるのですが、このそれぞれのキャラの描写というのが、全体的に上手な部類であるように思います。
 ここでいう上手さは、比較的原作っぽく、要素要素でツボを押さえたキャラ造形をしているように感じられる、という意味で言っています。多少二次ネタの雰囲気があったり、独自の味付けが働いている(ゲーム廃妖の紫さまや廃神の諏訪子さま素敵)ところもありますが、おおむねいい感じにまとまっている印象です。

 東方キャラがこんなふうにゲームをするというのは、弾幕ごっこと違うハレであり、しかし同時に、普段の日常に組み込まれないだけのケでもあります。ハレケの境界、という言い方は少しかっこつけすぎですが、それはどちらでもなく、しかしどちらでもある状況ではないかと思います。
 たかがゲーム、されどゲーム。
 ゲームだからこその容赦なさ、裏切り、さまざまな画策。本気でないことを前提した上で本気で戦うという、ゲームだからこそという一面。弾幕ごっこにも通じるところのある理念ですが、弾幕ごっこはなんだかんだで肉体を動かし、それに主に個人戦です。
 対してここでのゲームは頭脳戦。それも、他勢力との外交や自勢力の発展などなど、戦争以外にいくらでも考えることがあり、戦争以外の油断も敗北に繋がるゲーム。そこにおける、幻想郷の面々の立ち振舞いがそれぞれ見てて面白いものでした。
 このあたりの妙を魅力的に描けていた土台には、上述したような、ツボを押さえたキャラ造形があるように感じます。

 また、ストーリー面(と言ってしまっていいのかな……)のまとめ方が、この作品にさらにもう一味与えています。
 タグには「みんなでゲームしてるだけのお話」とあります。……それだけの認識で読んでしまっても十分に面白いのです、が。
 Wikipedia先生によると、「シヴィライゼーション」は、「いわゆる戦争ゲームではなく、文明の発展や人類史そのものを扱っている」ゲームとのことです。
 じっさい読んでみればわかるのですが、このゲームは紀元前三〇〇〇年の原始時代に始まり、人類の歴史を再びたどっていくことになります。そのうちに銃が出てきて、戦闘機なんてものも出てきて……どんどん、いまこの時代に近づいてきます。
 そして幻想郷は、その過程で忘れられたものが集う場所。
 あるいは、それとは、別の歴史を歩んだものが集う場所。
 そんな彼女達が、ゲームの中で近代兵器を使って戦争してみたり、いろいろ外交っぽいことをしてみたり、文明発展させてみたりしてるのを見ると、なんだかそれは、ゲームという虚構の中に幻想を抱く私たちと、鏡写しになっているようで。


「たぶん、はい。このゲームだってそうです。リセットボタンはないけど、藍さんの妖術が切れたら全部消えちゃう幻です。それが嫌だとは言わないけど、なんだか寂しいなって思っちゃって」

「進歩しすぎた科学は、魔法と見分けがつかない。誰が言ったか知らないけど私の好きな言葉だよ」


 少しだけ抜き出しましたが、後編前半部分の早苗と諏訪子の会話、それに文とにとりの会話には、ちょっと涙が出そうになります。
 ぜひともそこまでたどりついて、彼女たちの描いた歴史、彼女たちの文明ごっこの結末と共に、いろいろ想いを馳せてもらえたら嬉しいです。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】84/100点



 そのほか一言感想。

『つかまえないで』(MS***氏)がおくゆかしいゆかようむでいい感じ。

『家具売り巫女と前途多難な話』(MS***氏)が小気味良いコメディ……ほのぼのコメディ? キャラを壊すことなくきっちり締めてて、見た目以上に上手いことやってるなあと思いました。

『幻想服屋が死んだ』(ナルスフ氏)の霊夢さんが素敵。普通の女の子としての霊夢さん、そういう面を描いてくる作品ってなかなか少ない。

『幻想百人妖一首』(すこぶる氏)が、超ガチに百個やっててすごい。
コメント投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバックURL
http://kurubata.blog58.fc2.com/tb.php/1193-0df39b0c

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。