くるくるばたばた

ハヤテのごとく!をメインに、漫画ラノベその他について書くブログ。

いぬかみっ! 14巻感想

 ネタバレありありでいぬかみっ!の最終巻感想です。
 なんか文章的に突っ込みを入れたい場所は多々あったけど、ノリで忘れました。
 基本的にべた褒めです。信者ですから。


・第四章「明日は死なない〜tomorrow never dies〜」

 なでしこの失敗。そして、担保を取られた上での啓太たちの挑戦。
 前提記事その二でも書いたけど、このなでしこの失敗があったから、後に留吉が試練の本質に気づけたと思う次第で。実際、なでしこが十回目の点火を吹き消された直後、レネウスはかなりあからさまにそれを言ってますからね。
 赤道斎と大妖孤、および自分の復活を願って仮名さんも試練を申し出るけど、これもこれで、試練の本質はどんな状況であれ動かないことを考えると、やはり一時的に不利に見えるようであっても、大妖孤と赤道斎の関係が緩やかなものになるあのイベントは必要だったんじゃないかなーと思います。


・第五章「エルフィネスの追走」

>「いい女に」
>「なったの」

 くぁ〜って感じですね。ほんと、いつのまにやらすごいいい女になっちゃったですよ。
 ……いぬかみっ!て基本的に長編がないから、ほとんど短編集だから、余計に積み重ねが感じられるというか。
 戦闘部分も良いのだけど、実際もうこの部分だけでおなか一杯になっちゃいました。


・第六章「新たなる邂逅」

 白山名君の登場はいきなりに見えて実は九巻でがっちり伏線張られてるので登場自体はそこまで驚くことではなく、白山が意外に強いのも大地に近いからといわれればなるほどと思えないこともなく、だが強化契約は後付け設定くさい(笑)
 とりあえずカオルがまともに参加し始めたことにやっはーって感じです。むしろ挿絵があっただけで勝ち組。
 近くに助ける者のいないカオルの状態では、試練に成功する可能性が高い。もうほとんど答えを言っちゃってる感じもします。そして、それが本質の試練において、これだけの難易度のものを課されるということは、つまり啓太はそれほどに大きな、そういう存在だと認められたのだとかどこかで言ってましたね。


・第七章「愛と笑顔のホーリークラッシュ」

 他の誰よりもドクトルに限界が見え始めたことにいよいよ差し迫った感があるこの小説ってどうなんだろうと思わなくもない。いい意味で。
 カオルの問題、犬神たちに認められないことへの救済。ラストエピソードでこれを差し込んでくるとは正直思えなかった、というのも、これはいずれ時間と共に解決していくというイメージが強かったから。でもそれをすっ飛ばして信頼を得ることが可能なのが、こののっぴきならない戦いの場。そこにカオルが参加するというイメージがなかったからこそ、カオルの問題は時間と共に解決するのだろうと思っていたのですよ。
 なでしこが天に返した力を解放するあたりも総力戦っぽい感じが出てて良い、しかしあれを使うと何故か魔術的な方法で接続を切られてしまうイメージが。アニメの影響? とりあえず、この章のなでしこの挿絵はすごくよかった。なんか、壊れそうな堕ちた黒ではなく、黒は黒でも決意を秘めた黒って感じが。

 ところで、全員のピンチをレネウスが無表情に見つめているのが挿絵もないのに何故かイメージできるというか、この三神、ラスボスのくせに最終巻で登場ってことでキャラクターを描ききれるのか微妙に不安だったのですが、それがなかなかどうして、それぞれのキャラがとてもよく見えるから困ります。


・第八章「ヒカリ」

 ドミノ倒し。大きく安定したそれを倒すために小さなものがまずは動き出す。
 仲間仲間と聞き飽きた言葉だけど、こんな愚直なまでに、そして効果的な方法でそれをやられると、さすがにちょっと揺れるというものです。
 実際、この試練システムはよくできていると思うのです。結局のところ留吉は、戦闘においてはまったく役に立ちません。仲間仲間と言いつつ実力不足で戦闘での手助けはできない、できることといえば信じることだけ……というような状況って、よくあるじゃないですか。そしてその信頼がなんだか力になって、戦ってる人は勝っちゃうみたいな。
 この試練のシステムはそこのところを実に上手くカバーしていて、「全力を尽くすことで誰にでもクリア出来る試練」だからこそ、その願いという形で、戦闘能力の無い者が、信じるだとか祈るだとかそんなしょうもないことではなく、もっと現実的、実用的な面で、仲間の力になれる。精神的な部分と現実的な部分を上手く組み合わせてるのと思うのです。

 そして薫の復活を、本来の目的であったはずの薫の復活をややあっさりと終え、その薫すらも啓太の持ちうる力の一つとして全体像の中に組み込むというのは個人的に好きだったり。


・第九章「ブレイジングパレード」

 三神の存在を、世界の「好意」とした辺りは妙に納得がいっちゃうというか、まさにこれっていう単語を持ってきた感じ。
 しかし啓太とレネウスの会話を見ていると、この三神をさらに超えるような何らかの力がまだ存在するかのような印象を受けるんだけど……新作のブレイズ!に関しては、世界観は繋がっていると言えなくもないという微妙な触れ方だからなあ。なんともいえない。

 なでしこがごきょうやをかばうあたりとか、煉獄がついにオールになったあたりとか。今まで溜めに溜めてきたところをやっと使った感じ。
 そしてレネウスに対して啓太が言った言葉。前提記事その一の最後に書いたけど、ここで啓太が向けている信頼は、当然のことながら、試練の製作者が必ずそれをクリアできるように設定しているということへの信頼ではなく。
 製作者の意図など関係無しに。たとえ製作者がクリアする道を設定していない試練でも、自分達の力で打ち勝つという方向。どうしようもないような状況で、それでも、自分達の「すべての力」に対して向ける信頼。ここでの話はそういうこと。
 思えばたしかに啓太というのはそこに、自分達とは違う何かとの関係性に特化した存在なので、啓太の台詞も余計に感慨深く。それに関しては、啓太は最初期からずっとそうだったから。
 そういうものがとても強い力になるのだと、そういう世界。その言葉を聞きたかったのは、読者もそうだったのかもという。


・エピローグ「やっぱり最後も宴でシメて」

 ドクトルがめっちゃいいとこ持ってってる( ゚д゚)

 このエピローグのどこがやばいかというと、啓太が、ようこと契約できて幸せものかもと言ったあたりで。
 どの辺からだろう、八巻からだろうか、いや死神との戦いのあたりからかもしれないけど。啓太が何よりも高い、どんな状況もなんとかしてくれる、そんな最強的な存在っぽくなっていた感じがあったんですね。
 実際、啓太とようこのコンビはようこの変化ばかりが目に付いていたふしがあります。別に悪いことではないけど。

 これは、そういうことの否定。実際言われてみればそうで、この物語は啓太の視点で見ることよりも、ようこや他の誰かの視点で見ることの方が圧倒的に多かったはずなんです。啓太は途中からは、もちろんひどい変態的なことになったりもするけど、結構いいとこ取りな感じも否めなかった。だから上述したように、最強的な存在に見えた。
 でも、そう、考えてみれば、その最強的な存在になれたのは何故か。犬神もいなくて腐っていた啓太が、そんなふうになれた理由。ようこが来るまでは会うことも無かった薫の犬神たちと、互いに信頼し合うようにまでなれた、そのはじまり。

 最後の最後で、この物語は、啓太に視点を戻しているんです。そして、今まで隠れていた啓太の視点でこの物語を読み取ってみると、それは信じられないくらいに幸せに溢れた世界だったりもして。
 だからこれは、本当に、「いぬかみっ!」という世界を総括する最高のエピローグだったと思えるのです。



 最終巻感想は、これでとりあえず終わり。次回作の「ブレイズ!」に期待しつつ。気が向いたら、既刊感想もまだまだやるかもしれない。

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