征服娘。
貴族の娘として生まれ、なに不自由なく暮らしてきたマリアであったが、一つだけ不満を持っていた。それは「女はなにも手にできない」ことである。それに不満を持ったマリアは全てを手に入れる為、侍女であり、生涯の親友であるアッシャと共に立ち上がることを決意した!
はい、つまりそういうお話です。女であるがゆえに何も手にできないという、貴族制社会という舞台そのものに、貴族の娘であるマリアが親友のアッシャと共に戦いを挑むお話。
抱いた大きな野望に、とても真摯に向き合うマリアの姿には好感が持てます。序盤で、最も仲の良い兄であるレオンが最大の敵なのだと確認させられた時の反応とか、自身にいろいろなものが足りてないのだとしっかり自覚するあたりとか。
アッシャとの関係性も、とても素敵なもの。なんとなく、シャナとヴィルヘルミナさんを思い出させなくもない。
「あなたのために死ぬ? いいわね。そうやって死にたいわ」
あまりに素敵過ぎる。個人的には、アッシャの視点でお話が進む部分があるせいで、アッシャのマリアを大事に思う気持ちが確認されると同時に、彼女が腹に何かを隠してる可能性が否定されちゃったのが、少しだけ残念だったり……でもそこは本質じゃないのかな?「誰かのために死ぬ。それは一番いい死にかただと思うわ。それがあなたのためならなおさらいいの。わかる?」
信念を強く持つがゆえの好感がマリアとアッシャにあり、そして彼女らへの好感が、この物語を小気味よいものに仕上げています。かなり面白い部類で、続刊があるなら問答無用で買うと思います。
誤字脱字がいくらかあった印象なのが玉に瑕か。
ところで、イラストの鈴羅木かりんってどこかで聞いたことあると思ったら、ひぐらし漫画版(鬼隠し、罪滅し)の人か。そういえばこの人の化けっぷりは凄まじかったな……罪滅し編の山場部分を立ち読んだ記憶があるけど、かなりの迫力を兼ね備えた絵になってた。
いや、なんとなくですけど、この本の挿絵はすごく良いような気がするんですよね……なんでだろう。


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